隣地マンション建設工事により、住宅に傾きやひび割れが生じた。
相談年月:2014年12月
戸建て注文住宅の引渡しを受けた半年後に、隣地でマンションの建設工事が始まりました。建設工事により、家が傾き、内壁や敷地内駐車場にひび割れが生じるといった不具合が発生しました。
マンション建設業者は工事前と後に行った家屋調査の結果から、不具合は工事によるものだとして責任を認め、家の傾きを含め補修に応じると言っています。ただし、補修は1回だけで、保証期間を2年とすることを主張しています。
今回の傾斜が原因で、将来的に他の不具合が発生するのではないかと心配しています。住宅品確法※で定められた新築住宅の瑕疵担保責任期間は10年であり、再度家が傾いた場合、それに相当する期間は無償で補修してもらいたいと考えています。また、できれば、当方の住宅を新築した施工業者に補修を依頼し、その費用をマンション建設業者に負担してもらいたいと考えています。これらの要求は妥当でしょうか。
相談者とマンション建設業者との間には契約関係がないため、現在の不具合に対しては金銭で賠償を求めるのが民法上の原則であり(709条)、新築時の施工業者に補修を依頼し、その費用をマンション建設業者に請求することが妥当であると考えられます。法律上はマンション建設業者に補修を求めることはできず、相談者の側で補修に必要な費用を請求するか、補修した上でかかった費用を請求することになります。ただし、マンション建設業者との間で合意できれば、補修をしてもらうことも可能です。
新築時の施工業者に補修を行ってもらう場合には、瑕疵担保責任の範囲や期間について施工業者ときちんと決めておく必要があります。
一方、マンション建設業者に補修してもらう場合は、その業者の対応や技術が信頼できるものか、補修方法が妥当であるか等について慎重にチェックすることが必要です。将来、不具合を発生させないためには、補修工事が適切に行われることが重要なポイントになります。マンション建設業者は自らが行った補修工事に問題があれば、再度補修する責任を負うことになると考えられますが、マンション建設業者の提案する「補修1回、保証期間は2年」は十分なものとは言えません。しかし、住宅品確法上に定められた構造耐力上主要な部分等に関する10年の瑕疵担保責任は、新築住宅の請負業者に義務づけられたものです。
そこで、補修工事が不適切で再度補修が必要になった場合に備えて、マンション建設業者が今回の住宅の傾き等の責任を認めていることや再度住宅が傾いたときの補修方法、保証の内容についての覚書等を交わしておくとともに、補修工事の施工前と施工後の工事写真をできる限り詳細に記録しておくことをおすすめします。覚書等を交わす際は、内容が不利なものにならないように、事前に弁護士等の法律の専門家と相談することをおすすめします。
※住宅品確法:住宅の品質確保の促進等に関する法律
相談ID:640
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